HARD BOILED CAFE

ハードボイルド探偵小説に関する本の紹介。チャンドラーの翻訳にまつわるエッセイ等。

2014-01-01から1年間の記事一覧

『大いなる眠り』第3章

マーロウはリーガン夫人、つまり将軍の上の娘に呼ばれ、部屋を訪れる。その第一印象が語られる。 <部屋は大きすぎ、天井は高すぎ、ドアも高すぎた。部屋中に敷きつめられた白い絨毯はアロウヘッド湖に降った新雪のようだった。等身大の姿見やら、クリスタル…

『大いなる眠り』第2章

マーロウは、執事に導かれて温室に向かう。スターンウッド将軍がそこで待っていた。マーロウは熱帯を思わせる温室の温気に悩まされながら話を聞く。 We went out at the French doors and along a smooth red-flagged path that skirted the far side of the…

『大いなる眠り』第1章

" It was about eleven o’clock in the morning, mid October, with the sun not shining and a look of hard wet rain in the clearness of the foothills.” <十月の半ば、午前十一時頃のこと。日は射さず、開けた山のふもとあたりは激しい雨で濡れている…

第53章

テリー・レノックスはメキシコで整形手術を受けていた。北方系の特徴である高い鼻を削ることまでして全く別人のように見せていたが、眼の色だけは変えられなかった。正体を現したレノックスはすっかりくつろいだ様子で経緯を語り始める。マーロウの推理は当…

第52章

スターの紹介状を持ってマーロウのオフィスを訪ねてきた男は、シスコ・マイオラノスと名乗った。マーロウは、早速レノックスの最期について質問した。そのときの客のなかにアメリカ人は二人いたという。 “ Real Gringos or just transplanted Mexicans? ” 清…

第51章

マーロウは、気になっていることを確かめるために弁護士のエンディコットのオフィスを訪れた。冒頭、マーロウの目が捉えたオフィスの描写が入る。年代物の机に革張りの椅子、法律書と文書が溢れたいかにもやり手の弁護士の事務所といった様子である。 “ the …

第50章

一時間後、二人はまだベッドのなか。裸の腕をのばしてマーロウの耳をくすぐりながらリンダが「結婚しようと思わない?」ときく。よくもって六ヶ月だろう、というのがマーロウの返事。あきれたリンダは、人生に何を期待しているの、起きるかもしれないリスク…

第49章

エイモスの運転で、リンダがやってくる。マーロウはシャンペンでもてなそうとするが、リンダのボストンバッグを部屋に入れかけたところで口論になる。シャンペンくらいでベッドをともにする女と見られたくない、と怒り出すのだ。一度は、謝るマーロウだが、…

第48章

家の中で待ち構えていたのは、メンディ・メネンディス。警告を無視したマーロウに報復するための来訪だった。メネンディスはマーロウを三度殴るが、話の途中で相手の隙を突いてマーロウもやり返す。メンディが床に倒れたところでバーニーが登場する。すべて…

第47章

ジャーナル紙の記事を受けて、スプリンガー地方検事は記者会見を開き、公式見解を発表する。ジャーナル紙の編集長ヘンリー・シャーマンは検事の発言をそのまま紙面に掲載するとともに、署名入りの記事ですばやく反論する。モーガンが心配して電話をかけてく…

第46章

長い一日も終わろうとしていた。マーロウは車を飛ばしてヴィクターズへ向かった。開けたばかりのバーでギムレットを味わいながら、夕刊を待とうというのだ。記事はマーロウの望むとおりの形で載っていた。別の店で夕食をとって家に帰ると、バーニーから帰り…

第45章

事務所に戻ったマーロウは、たまっていた郵便物をボールに見立て、郵便受けからデスクへ、デスクから屑籠へ、と併殺プレイを独演し、ほこりを払ったデスクの上に写真複写を広げると、もう一度読んだ。そして、顔見知りの新聞記者であるモーガンに電話をかけ…

第44章

舞台はヘルナンデス警部の部屋。先日とちがっているのは、シェリフが不在であることと時間が昼間であること。部屋にはバーニー・オールズのほかにローリング医師と、地方検事の代理であるローフォードという男がいた。そのローフォードについての記述。“ a t…