HARD BOILED CAFE

ハードボイルド探偵小説に関する本の紹介。チャンドラーの翻訳にまつわるエッセイ等。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『湖中の女』を訳す 第三十章

<the hard rubber-smelling silence>は「ゴムの匂いのする硬質な沈黙」でいいのか? 【訳文】 30 ピーコック・ラウンジの狭い正面は、ギフト・ショップと隣り合わせていた。ショップのウィンドウの中ではクリスタルの小さな動物の一群れが街灯の光を浴びて…

『湖中の女』を訳す 第二十九章

「すまじきものは宮仕え」というのが今のマーロウの心境 【訳文】 29 深夜らしく控えめなノックの音がして、私はドアを開けに行った。クリーム色のシェトランドのスポーツコートを着て、ざっと立てた襟の内側に緑と黄色のスカーフを首に巻いたキングズリーは…