The Lady in the Lake
<We were waved across the dam>は「ダムの向こうで手が振られた」 41 【訳文】 ハイウェイを封鎖するため、パットンが何本か電話をかけ終えたとき、ピューマ湖ダムの警備に派遣されている軍曹から電話がかかってきた。我々は外に出てパットンの車に乗り込…
<give me a break>は「勘弁しろよ」 40 【訳文】 デガーモは壁から離れて背筋を伸ばし、うすら寒い笑みを浮かべた。右手がさっと鮮やかに動き、銃を握っていた。手首をゆるめていたので、銃口は目の前の床を指した。 彼は私を見ないで私に話しかけた。「お…
<need ~ing>は「受け身」で訳さなければいけない 39 【訳文】 また別の重苦しい沈黙が訪れた。パットンがその注意深くゆっくりした口調で沈黙を破った。「それはいささか乱暴な言い方だと思わんかね。ビル・チェスは自分の妻の見分けぐらいつくだろう?」…
<as drunk as a skunk>は「ひどく酔っぱらっている」 【訳文】 キングズリーはぴくっとからだを震わせ、目を開き、頭を動かさずに目だけ動かした。パットンを見、デガーモを見、最後に私を見た。その目はどんよりしていたが、その中で光が鋭くなった。椅子…
<if that's what you mean>とあるからには、言外の意味があるはず 37 【訳文】 標高五千フィートのクレストラインでは、まだ気温は上がりだしていなかった。我々はビールを求めて店に立ち寄った。車に戻ると、デガーモは脇の下のホルスターから銃を取り出…
<fire plug>は「点火プラグ」ではなく「消火栓」 【訳文】 36 アルハンブラで朝食を食べ、車を満タンにした。ハイウェイ七〇号線を走り、トラックを追い越しながら、車はなだらかな起伏のある牧場地帯に入っていった。私が運転した。デガーモは隅の方で…
<light on the fan over the door>は「ドアの上の扇風機についた明かり」じゃない。 35 【訳文】 白い二階屋で屋根は黒かった。明るい月の光が壁を照らし、まるでペンキを塗ったばかりのようだった。正面の窓の下半分には錬鉄製の格子がついていた。刈り揃…
<nothing on my plate>は「何もやることがない」 34【訳文】 我々は部屋を出て、六一八号室とは逆方向に廊下を歩いた。開いたままのドアから明かりが漏れていた。今は二人の私服刑事がドアの外に立ち、風でも吹いてるみたいに両手を丸めて煙草を吸っている…
< a double silver frame>は「二重」ではなく「二つ折り」のフレーム 33【訳文】 闇の中に下り、手探りでドアのところまで行き、ドアを開けて耳を澄ました。北向きの窓から漏れる月明かりでツインベッドが見えた。ベッドメイクされていたが、空っぽだった…
<viaduct>は跨線橋ではなく高架橋。実在するポスターの汽車は橋の上を走っている。 【訳文】 32 ジンの匂いがした。冬の朝ベッドから出るために四、五杯引っかけたというようなさり気ないものでなく、太平洋が生のジンで、ボート・デッキから飛び降りた…
バランスを崩しかけたら、ふつう何かにつかまろうとする。 【訳文】 「君はこの役を見事に演じてるよ」私は言った。「この混乱した無邪気な女のなかに透けて見える冷たさや辛辣さを含めてね。みんな君のことを大間違いしていた。君は頭が悪くて抑えがきかな…
<the hard rubber-smelling silence>は「ゴムの匂いのする硬質な沈黙」でいいのか? 【訳文】 30 ピーコック・ラウンジの狭い正面は、ギフト・ショップと隣り合わせていた。ショップのウィンドウの中ではクリスタルの小さな動物の一群れが街灯の光を浴びて…
「すまじきものは宮仕え」というのが今のマーロウの心境 【訳文】 29 深夜らしく控えめなノックの音がして、私はドアを開けに行った。クリーム色のシェトランドのスポーツコートを着て、ざっと立てた襟の内側に緑と黄色のスカーフを首に巻いたキングズリーは…
<have a line on>は「~に関する情報を持っている」 【訳文】 28 ウェバーは静かに言った。「ここでは、我々のことをただの悪党だと思っている人もいるだろう。連中はこう思っている。妻を殺した男が、私に電話をかけてきて言う。『やあ、警部。ちょっと…
<corner office>は二つの壁面が窓になった、眺めのいい重役室のこと 【訳文】 ウェバー警部はその少し曲った尖った鼻を机越しにこちらに突き出して言った。「かけたまえ」 私は丸い背凭れの木の肘掛け椅子に腰を下ろし、左脚を椅子の角張った縁からそっと…
<dismal flats>は「見すぼらしい家屋」ではなく「海岸沿いの湿地」 【訳文】 監房棟はほとんど新品同様だった。軍艦の灰色に塗られた鋼鉄の壁や扉は、二、三ヵ所、噛み煙草の唾を吐かれて外観を損ねていたが、まだ塗りたての鮮やかな光沢を保っていた。頭…
<touched>は「気がふれた、頭が変だ」 【訳文】 ウェストモアは街外れを南北に走る通りだ。私は北に向かって車を走らせた。次の角で、もう使われていない都市間鉄道の線路をがたごとと横切り、一区画まるごと廃車置き場になっているブロックに入った。木製…
<bought myself a drink>が、「一人で一杯やる」という訳になる理由 【訳文】 ハリウッドに戻ってきて、オフィスに上がったのは夕暮れ時だった。ビルは空っぽで、廊下もしんとしていた。各室のドアは開いていて、中では真空掃除機や乾いたモップやはたきを…
拳は握りしめられたのか、それとも解かれたのか? 【訳文】 私は言った。「私はロスアンジェルスのある実業家のために働いている。自分が噂の種になりたくなくて、私を雇ったわけだ。ひと月ほど前、彼の妻が家出した。そのあと、レイヴァリーと駆け落ちした…
「大いなる熱意を込めて命令通りに行動した」とは何のことやら? 【訳文】 最初に入って来たのは、警官にしては小柄な、頬のこけた中年男で、いつも疲れているような表情をしていた。とがった鼻は少し片方に曲がっている。まるで何かを嗅ぎまわっているとき…
<be+being+形容詞>は「いつもはちがうが、今は~している」 【訳文】 レイヴァリーの家の前に警察車両は停まっていなかった。歩道をうろつく者もなく、玄関扉を押し開けても、葉巻や煙草の煙の匂いはしなかった。窓に差していた陽が消え、蠅が一匹、片一…
<thumb in one's eye>は「悩み(頭痛)の種」 【訳文】 彼女はハンカチに目を止め、私を見て、鉛筆を手に取り、端に付いている消しゴムで小さな麻の布をいじった。 「何がついてるの?」彼女は訊いた。「蠅捕りスプレー?」「サンダルウッドの一種、だと思…
<touch>は、「殺し」の合言葉 【訳文】 彼女は少しばかり考えていた。途中で一度ちらっと私の方を見て、また目をそらした。「ミセス・アルモアに会ったのは二度だけ」彼女はゆっくり言った。「でも、あなたの質問には答えられると思う――すべてね。最後に会…
<Come and see my etchings>は「ちょっと家に寄らないか」という誘い文句 【訳文】 アスレティック・クラブは、通りをはさんだ四つ辻の角にあった。トレロア・ビルディングから半ブロックほど行ったところだ。私は通りを北に横切って入口に向かった。以前…
香水についても詳しくないと、私立探偵はつとまらない。 【訳文】 「ろくでなしめ」彼は声を低くした。「あいつはあれを見限ったんだろう」「そいつはどうかな」私は言った。「あなたにとっては動機が不充分だったんじゃ、文明人だからという理由でね。でも…
< in a nice way>は「いい意味で」 【訳文】 アスレティック・クラブのベルボーイは三分後に戻ってきて、一緒に来るようにうなずいた。四階まで上がり、角を曲がったところで半開きのドアを私に示した。「左に折れたところです。できるだけお静かに。何人…
<ingenuous>は「純真な」という意味。まさか<genius>との誤読? 【訳文】 階下の廊下は両端にドアがあり、中ほどにもドアが二つ並んでいた。一つはリネン・クローゼットで、もう一つには鍵がかかっていた。突き当たりまで行って予備の寝室を覗いてみると…
<knee crack>は膝の立てる間接音のこと 【訳文】 銃を取ろうと手を伸ばしたが、私の手は卵の殻のようにこわばって、今にも壊れてしまいそうだった。私は銃を受け取った。女はさも嫌そうに銃把に巻きついていた手袋の臭いを嗅いだ。そして、それまでと同じ…
<the dickens>は<the devil>と同じで「一体全体、どうして」 【訳文】 アルテア・ストリートの交差点を過ぎて交差道路に入り、渓谷の端で行き止まりになっている、歩道と白い木の柵に囲まれた半円形の駐車場に行き着いた。しばらくの間、車の中に座り、…
<sit across the room from someone>は「向かい合って座る」とは限らない 【訳文】 冷え冷えとした緑色の水底で腕に死体を抱いている夢を見た。死体の長い金髪が私の目の前を漂い続けている。目が飛び出し、体が膨れ、腐った鱗がぬらぬら光る巨大な魚が、…